営業ロープレとは?やり方と7つのコツ

営業ロープレ

営業ロープレは、実営業活動をイメージして練習を行う研修方法です。営業力向上に欠かせないトレーニングですが、意味のないやり方を続けている人も多いです。

そこで当記事では、営業ロープレのやり方やコツなど、実践で役立つ方法を紹介します。

効果的にロープレを行えば、間違いなく営業力は高くなります。正しいロープレ方法をマスターして、実践や研修に活かしましょう。

営業ロープレとは

営業ロープレは、営業ロールプレイングの略語で、営業活動を模擬的に行うトレーニングです。新人と先輩で組んで行うのが一般的で、営業の流れやトークを習得できます。

営業ロープレは、スポーツでいうところの「練習試合」のようなものです。実践形式で練習を積み重ねることで、自信を持って本商談に臨めるようになります。

営業ロープレのメリット

お客様の立場に立てる

営業ロープレでは、営業担当者が顧客役を演じることで、顧客視点を体感することができます。顧客役を演じることで、お客様の立場になって考えることを学ぶことができます。

説明はわかりやすいのか・興味を惹けているか・疑問に答えられているかなどの点を意識して顧客役になれば、営業手法やトーク改善が見えてきます。

改善ポイントを適切に把握できる

営業ロープレでは、顧客役が営業役の交渉を評価し、改善点を指摘します。営業担当は、自分では認識してなかった課題や弱点を把握できるため、改善プランを立てることが可能です。

例えば、問題はトークではなく「表情や態度」「話すテンポ」であることも多いです。客観的な視点を取り入れられることは営業ロープレの大きなメリットです。

売れる営業トークが身につく

営業ロープレでは、成約率の高いトークスクリプトを繰り返し練習することはもちろん、様々な営業トークの試行錯誤ができるため、どのトークが効果的であるかを検証できます。

また、顧客役はもちろん、他の参加者のフィードバックから、新しいトークスクリプトやアプローチ方法を学ぶことができます。

断る理由に対するアウトを学べる

営業現場では、顧客からの断り文句は避けられない過程です。ロープレでは、顧客役が様々な断りの理由を提示する中で、それに対する対処法や反論の仕方を練習することができます。

ロープレを繰り返すなかで、断られる理由への理解が深まり、適切なアウト(対応トーク)が自然と言えるようになります。アウトは、いかに当たり前に言えるかが重要であり、練習の積み重ねが大切です。

成長がフィードバックされるので自信がつく

ロープレを通してスキルアップが実感できれば、営業活動に自信がつきます。ロープレは、できなかったことが出来るようになる瞬間を目撃しやすいので、成長を即時称賛できることも長所です。

これらのメリットを活かすためには、 目標設定と振り返りが大切です。逆に言えばフィードバックのないロープレは意味がないので、講師側は成長促進のフィードバックを常時発言できるようにしましょう。

編集部
花井 大地
営業ロープレは苦手意識を持つ人も多いです。講師側は肯定8割、助言2割を意識するのがおすすめです。

営業ロープレのやり方!5つの手順

1.シナリオと目標設計を行う

営業ロープレは、具体的なシナリオと目標設定を設計することから始めます。顧客属性、商材、営業フェーズなどを明確化し、達成したい目標を設定します。

過去に蓄積された事例や、断られた顧客などをもとにシナリオを設計しましょう。お客様の課題や反論への対応など、実践に活きるロープレを行えます。

また、営業役と顧客役を決める際には、経験豊富な先輩社員がお客様役を担当するのもおすすめです。講師役が営業役を「まず」やることで、ロープレへの苦手意識を減らすことができます。

2.事前準備する

シナリオと目標が決まれば、事前準備です。営業役はトークの整理と、顧客の断る理由や契約してもらうための道筋について仮説を立てます。

また、録音やビデオ撮影の準備もしておきましょう。たった二人だけでなく、組織でロープレ内容を共有できたら、全体の生産性向上に寄与します。

さらに、ロープレの観察者やフィードバック担当として、トップ営業マンに同席してもらうのもおすすめです。より客観的に、ロープレ結果への助言がもらえるようになります。

3.実際にロープレ→営業全体を見るorプロセス集中する

営業の原理原則

ロープレする場合は、営業全体を通しで行うか、営業プロセスの一部分だけを行うかを決めましょう。

全体を通してみるロープレが多いですが、成長を促進できるのは、圧倒的に一部分だけを徹底的に練習することです。

売れない営業は、どこかの営業プロセスに問題を抱えているため、一箇所を改善できれば急に売れるようになることが多いからです。

4.質疑応答とフィードバック

ロープレを終えたら、まずは質疑応答を行いましょう。疑問や意見などがあれば講師側がキャッチアップして、違和感を解消してあげるべきです。

そして、最も大事なのは、相手の成長を促すフィードバックをすることです。ダメな部分を攻めるのではなく、どうすれば良くなるかにフォーカスしましょう。

具体的に何をすればよくなるかを伝え、改めてロープレする際に克服できれば、ロープレに意味があったと言えますし、そうでなければロープレの意味がありません。

5.プロセス毎にトーク集を作成する

ロープレを終えたら、「アプローチ」「ファクトファインディング」「クロージング」で切り分けて、トークスクリプトをブラッシュアップさせましょう。

「よくある質問&アウト返し」「断られる理由、ネガティブな意見返し」もドンドン増やしていくべきです。

これ、面倒に見えて、その通り面倒です。しかし、トーク集を日々ブラッシュアップしないから、いつまでも組織の営業が標準化されません。

ナレッジの共有は何の業界であっても重要ですが、何故かセールスの世界だけ、一歩遅れてます。

トーク集を自らの力でブラッシュアップできる人材を増やし、自ら考える習慣をチームに浸透させれば、個だけではなく組織として成長が約束されます。

営業ロープレの7つのコツ

1.目標を明確にする

営業ロープレを実施するまでに、必ず具体的な目標を設計しましょう。目標が明確であるほど、トレーニングの焦点が定まり、効率的な学びが得られます。

例えば、直近で断られお客様がいれば「断る理由に対して適切にアウトできるようになったか」を目標にして、自然にアウトできるまでロープレを繰り返します。

2.営業プロセスを分解してフィードバックする

営業の原理原則

営業ロープレをする場合は、プロセスを切り分けてフィードバックすることが大切です。どこ改善が必要かを把握しやすく、論点整理にも役立ちます。

プロセスを分解すれば、例えばアプローチが苦手な人専用の研修資料も作りやすくなり、他にアプローチが苦手なプレイヤーにも再現性高く研修ができます。

そして、フィードバックはできるだけ具体的に「行動レベル」でわかるように伝えましょう。抽象的だと成長に繋がりづらいので、解像度高い助言が必要です。

3.一時停止して指導する

ロープレは、ミスがあれば即止める!が基本です。最後までロープレを通すと、助言すべき内容が増えて、フィードバック役も何がなんだかわからなくなります。

営業役も、自分のミスがわからないから商談を進めてしまうし、取り返しのつかないような状態になって終わってしまいます。

そして、そんな間違いを止めることのできる唯一の営業練習が、ロープレです。

鬼のように、ロープレ中に「はーいSTOP!!」と止めまくって、その場その場で助言を与えることで効果を高めましょう。

4.全体を通す場合はクロージングに着目する

ロープレをどうしても全体通しで行いたい場合は(流れを理解させたい場合など)、クロージングに着目しましょう。

営業プロセスのなかで、アプローチの次に重要なのは、クロージングです。アプローチとクロージングの数を稼ぐだけで、営業は成果を上げることができます。

新人は、勇気がなくてクロージングまで言い切れていないかもしれません。従って、ロープレを行う場合は、必ずクロージングまで言えているかを確認しましょう。

5.非言語も意識する

ロープレでは、営業トークが中心になってフィードバックされがちですが、間違いです。言語にあられない要素も、いくらでも改善の余地があります。

話し方や声のトーン、表情などの非言語コミュニケーションも意識して確認することで、よりロープレの効果を高めることができます。

6.チェックシートを用意する

  • □要件は明示できているのか
  • □自己紹介しているか
  • □お客様の過去現在未来を聞けているか
  • □お客様の理想と課題は何か
  • □表情は明るいか
  • □適切なスピードで話せているか
  • □客観的事実を聞けているか
  • □尋問口調ではなく顧客が話せる環境を創れているか
  • □合意を取り続けているか
  • □お客様の課題を解決できるか
  • □クロージングを行っているか

ロープレを行う場合は、商品やサービスごとにチェックシートを作るのもおすすめです。ロープレのゴール設計がしやすくなり、組織の標準化も可能になります。

7.毎日ロープレする

営業ロープレは、できるだけ多くの頻度でやるべきです。ロープレ出来ない組織は、

  • ・上司が営業プロセスを分解できていない
  • ・日々が忙しく、物理的な時間を取れない
  • ・営業力向上に繋がらないと感じている

ことが多いです。しかしながら営業プロセスを分解すれば、ロープレの時間が短縮され、忙しい中でも日々鍛錬を積めるようになります。

編集部
花井 大地
定期的な学びの場として、参加者がリラックスして意見交換できるポジティブな環境を整えましょう。間違いを恐れずにロープレできる雰囲気作りが大切です。

短時間ロープレで毎日練習する

営業プロセスの苦手か得意に集中する

営業の原理原則

営業ロープレは、実営業活動の全プロセスを通しで行うと時間がかかります。短時間で効果的に行う場合は、伸ばしたい「得意」か「苦手」のプロセスに集中しましょう。

例えば、プレゼンに到達できない営業パーソンは、前プロセスに問題があります。アプローチ時点で相手が聞く耳を持ってないことが考えられるので、アプローチだけ5分だけでもロープレしましょう。

出来るようになるべきことを設定する

営業プロセス ゴール設計の例
事前準備 ・顧客の断る理由を自然に潰せる
・プレゼン中に仮説提示できた
アプローチ ・自己紹介と要件提示ができた
・相手に興味を持ってもらえた
FF ・質問しながら合意を数回とれた
・合意をもらえる質問をした
プレゼン ・プレゼンしながら合意をとれた
・値段は?と前進する質問を貰えた
クロージング ・クロージングを言い切れた
・断られる理由を潰せた

営業プロセス毎にロープレを分割したら、ゴール設計を行いましょう。どのようにすれば、当該プロセスがトッププレイヤーに近い水準で出来るようなるかのゴール設計が必要です。

例えば、クロージングが苦手な営業パーソンに、プレゼン→クロージングのロープレを行ったとします。

ゴールをクロージングまで言い切ることに設定した場合、何があっても「契約して下さい!」までたどり着くことをゴールにすれば、実践でもクロージング数が間違いなく伸びます。

シャドーロープレは超おすすめ

シャドーロープレとは

シャドーロープレというのは、お客様を妄想し、1人でロープレを行うことです。

自分がこう言ったら、お客様はこう言う。そしたら、このように切り返す、とか。お客様はきっと、こんな質問をしてくるだろう、だったらこう答える!!とか。

想像での商談を何度も何度も繰り返す。暇があればシャドーする。繰り返し続けることで、商談をスムーズに進めることができるようになります。

シャドーロープレのやり方

とにかくお客様の情報をできる限り集めて、相手を創造して対話します。1人でぶつぶつ言うだけです。

僕は、お客様との打ち合わせ前は、今でも頭の中でシャドーロープレを行ってます。新人の頃は、移動中や電車の中で一人でブツブツ言葉を繰り返していました。

シャドーロープレも、やればやるほど成果に繋がります。シャドーロープレを行ってない他営業パーソンより、3倍は実戦(想像)をこなせたと自信がつきましたし、実際に3倍は売れました。

一人ロープレを繰り返し、経験値を増やすことで営業を極めていきましょう。

ロールプレイングで営業力は必ず上がる

営業活動は、「聞く」「話す」という行為が中心です。「聞く」「話す」は、実際に自分でやってみないとなかなか身につかない上に、実際にお客様と商談できる回数は限られています。

ロープレをすることで、商談体験を無限に増すことができるため、スキルが身につく速度は当然高まります。営業力を高めたければ、ロープレを軽視せず、効果的なやり方で日々運用していきましょう。

営業は『目標予算を言えるようにする(⇒逆算して行動する)』『行動量を圧倒的に増やす(⇒ヨミを常に抱える)』『ロープレする(トークやアウト返し、ナレッジの共有を行う)』。この3つだけで、最強になれます。

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